防音アパートの作り方

防音アパートの作り方を理論から実践まで詳述します。

防音アパートの作っています。
楽器をガンガンに使える快適なお部屋にカスタマイズします。
大阪から電車で9分徒歩6分の園田にあります。
ご見学下さい。
06-6491-6339

防音アパート天井
スーパーストラクチャー
A仕様
天井
枠を作ってプラスターボードを張ってから
前述の壁の上に載せます。

壁の上に
「割り」材で
枠を作るように囲います。

また
梁間方向には割り材を渡し
補強します。

狭い中で外から
張り込めない所ですので
作ってから
載せる方法が良いと思います。




スーパーストラクチャー
A仕様
天井

今回の防音室は
屋根は
別にありますので
屋根の機能はありません。

天井のみの機能です。

天井の外側は
35mm垂木を横に渡し
周りを同材で枠を作ります。

下地を作ります。

防音アパートの天井

下地に
壁と同様に
中から順に
遮音シート
石膏ボード
非硬化性遮音材
石膏ボードの順で貼ります。

石膏ボードは
12.5mmです。



スーパーストラクチャー
A仕様
仕様材料
  二重壁の外の部分


土台:桧材 105×105 小さいものは90×90
    今回は90×90

割り材;柱と同じ幅のものを割った大きさの材。
     通常は三割(みつわり)・四割(よつわり)があります。
     今回は
     立て材は105×30を引き立てて(たて鋸で切り取り柱幅にしたもの)使用しました。
     横架材は105×30です。

桟:二寸の一寸 と呼ばれる60×30 または60×27
  今回使用したのは60×27です。

石膏ボード:今回使用の石膏ボードは
        外壁に面していますのでシージング石膏ボード(耐水石膏ボード)
        を使用しています。
        厚さは12.5mm 

スーパーストラクチャー


下地に石膏ボード2枚張りです。
石膏ボードは厚12mm
音源側に遮音シート
石膏ボード同士は、非硬化性遮音材を挟み込み
ネジで堅固に下地に取り付ける。

これを
外壁の下地とします。

この外側に適切な防湿紙
適切なサイディングを施す。

c104p0505

c104p0506
A仕様の壁

構造

A仕様は
別棟で建てる時のいわゆる外套としての
性質を持っています。
一番外の部分で
耐風・耐震・風雨に耐える必要上
しっかり作ります。
そのため厚みが出来る関係上
それを利用して
二重壁とします。

ゴム敷きの上に土台を置きその上に
作ります。

壁の構造

スーパーストラクチャーの
壁の部分は
小さいものでしたら隅のみ「割り材」を
数本束ねて柱とします。

壁は「桟」程度の材で
下地を作ります。

「桟」は300mmピッチ程度とします。

スーパーストラクチャー

A仕様(2重壁仕様)

別棟で建てる場合は
外壁・屋根が必要です。

暴風や地震・雨に耐えられる構造でなければなりません。

もちろんしっかりした屋根も必要です。

そのような
防音アパートの外套を作ります。

それでいて
防音性も必要です。

上記性能と防音性を合わせ持つ構造で製作します。

ファンデーションが出来ると
スーパーストラクチャー(上部構造;壁と天井)
になります。

スーパーストラクチャーも
もちろん
しっかりしているのがいいのです。

それに
いろんなものを
使用するのがよいです。

スーパーストラクチャーの仕様は
小社では
次の4つです
  • A仕様(2重壁仕様)
  • B仕様(非硬化性遮音材使用)
  • D仕様(異種PB接着型仕様)
  • E仕様(在来壁補強仕様)

何度も申し上げて
恐縮ですが
多重にする防音壁は
いろんな材料を
使うことが肝要です。

ファンデーションの効果 続き


ビデオは
床に直接タイヤを落下させて
音を出す方法です。

実際の音は
防音室内で起こり
それが
空気の振動として伝搬して
床に至り床を振動させるものです。

異なりますが
外に伝わる時は
床が揺れて
それが下のゴム板を通じて
固体伝導するのです。

タイヤを落とす時に出る音の大小は
空気伝搬によって運ばれる音が
ファンデーションに当たって
それを揺らすのと
近似関係にあると類推されます。

正比例ではありませんが
少しは関係していると
考えるのが
適切かと思います。

ファンデーションの効果

中が中空でないのでそれだけでも
防音効果があります。



重量床衝撃音測定の時に使う方法と同じ方法です。
タイヤを落下させて騒音計で測るものです。
ビデオでは再生音が同じくらいに聞こえますが
騒音計では明らかに違います。
小さなパソコンのスピーカーでは低音が再生できていないためだとおもいます。
また聞こえる音は
高音側にですので防音しやすい音です。


上のビデオが見えるようにウインドウメディアを有効にして下さい。

ファンデーションの作り方
 構造

ファンデーション

下から順に

  1. 発泡ゴム 厚20mm
  2. 合板12mm
  3. ゴム系接着材
  4. 下の合板とは「互い違い」の位置に合板12mm
  5. ゴム系接着材
  6. 下の合板とは「互い違い」の位置にプラスターボード12mm
  7. 非硬化性遮音材
  8. 下のプラスターボードとは「互い違い」の位置にプラスターボード12mm
  9. ゴム系接着材
  10. 下のプラスターボードとは「互い違い」に合板12mm

を張り付けながら積層します。

前もってその長さに切っておき
一気に重ね合わせ
発泡ゴムを除く5層をネジ止めします。
ネジはL=75mm半ネジ仕様が適切です。
間隔は@300mm程度が適切です。

注意すべきことは
5層を一気にネジ止めしますので
途中でネジのために材料が浮きがることがあります。
ファンデーションが曲がってしまって
スーパーストラクチャーを作るのに支障を来しますので
特に注意し体重を掛けながらネジ止めして下さい。

ファンデーションの作り方


前述したように
  • 重いこと
  • 質密なこと
  • いろな特性を持つ材料を使うこと
  • 遮音と吸音を合わせ持つこと
  • 中空でないこと

が必要です。

よくあるような
次の写真のような床組では
満足できません。

KIMG0131121

そこで次のような
構造を小社では採用しております。



ファンデーション
重さは40kg/m2程度になります。

ファンデーション写真

ベースメントを堅固にそして独立して作ると
防音室を作る用意が出来ました。

防音のためには
先で述べたように
  • 重いこと
  • 質密なこと
  • いろな特性を持つ材料を使うこと
  • 遮音と吸音を合わせ持つこと
  • 中空でないこと
が必要です。

具体的に
防音室を作るには
防音室自体は
床部分=ファンデーション
 foundation
壁と天井部分=スーパーストラクチャー
 superstructure
に分かれます。

その構造が
根本的に違いますので
分けて
考えます

ファンデーションは
上からの荷重を
ベースメントに伝える必要がありますので
防音と同時に
大きな力に耐えなければなりません。

防音のためには
浮いているのが最善ですが
そのようなことは不可能ですので
特別な構造とします。

中空ではなく
種々の材料が使われ
荷重・自重に耐えられ
吸音材にも成り
ある程度浮いた構造にもなる
床構造を作る必要があります。

一方
スーパーストラクチャーは
自重に耐えられ
防音性能があることが
求められます。

同じように
中空ではなく
種々の材料が使われ
荷重・自重に耐えられ
吸音材もある構造です。


ベースメントの要点は
  • 出来るだけ重いものが良いです。
  • 既存の建物とは縁切りすることが大切です。
  • ベースメントの近くには空洞がないこと。

この三点に
注意してベースメントを
設置する必要があります。

固体伝導音は
遮断しにくいので
防音アパートのベースメントは
しっかり作る必要があります。
そのためには
出来るだけ重くつくることが大切です。
鉄筋コンクリート造とするのが適切です。

また同じ理由で
既存の建物とは
縁切りすることが
大事です。
土や発泡スチロールのようなものを
境界に置くことが良いと思います。

また
ベースメントの近くに
空洞があると
共鳴によって
音が増幅する恐れがありますので
箱のような基礎を作ってはいけません。

防音室を作る台 ベースメントについて

何ごとも
基礎が大事です。

基礎部分を
私どもではベースメントと呼んでいます。

防音上ベースメントは、防音アパートの自重を受けるためにだけあるのではありません。

防音上重要な要素です。

音は
空気伝搬と
固体伝搬があります。

防音アパートで発せられた音は
防音アパートに当たってその壁を揺らします。

防音アパート自体の振動は外側の
空気の揺れを生じさせます。

音が通過した状態です。

しかし一部の揺れは
防音室が置いてある床を通じて
外に漏れます。

これが固体伝搬です。

固体伝搬は、空気伝搬と違って
減衰しにくいものです。

固体伝搬は距離減衰・遮蔽等の効果が少ないのです。

楽器もガンガンに使える
防音アパートを作る場所は次の三カ所です。

  • 1階の床を補強して防音アパートを作る
  • 1階の床を取り除きその中に防音アパートを作る
  • 増築して防音アパートを作る

いずれも
1階に防音アパートを作ります。

建築基準法では
住宅の載荷荷重は
1300N/m2(133kgw/m2)となっています。

これから作る防音アパートは
1.4m角で500Kgw程度ありますので
木造の建物の場合は
2階には
設置できません。


1.お部屋の床を補強して防音アパートを作る場合
KIMG30365
写真は防音室の中の床も作ったところです。
2.お部屋の床を撤去して防音アパートを作る場合
KIMG0131121
お部屋の床を完全に撤去して作っています。
床組を写真の様に組んでいますが
これから述べる防音室は
新しい知見により
上記のやり方とは異なります。
3.増築して防音アパートを作る場合
DSC_0487
庭に新しい床を作ってベースメントとします。
頑丈なほど良いです。

今から述べる
防音アパートの作り方は
木造の建物を改修することにしていますので
鉄筋コンクリートのような
重いものを用いません。

また
私が目指しているのは
1000分の1 
60dBの減衰です。

そのために
3重の防音室です。

もっと
必要ならば
4重にすることも可能ですが
設置後に
4重にするのは
困難が伴います。
 
3重になると
3枚の防音扉の開閉は
中からしかできません。

中の人が
急に意識がなくなる場合に備えて
窓をつけております。

窓を
割って
中の人の救出をして下さい。


 

防音は
繊細な事柄です。

ちょっとしたミスや
何気ない工事のやり方で
性能が
大きく違ってきます。

防音工事の大原則は


  • 隙間を作らない
  • 弱点を作らない

の二点です。

音エネルギーを1000分の1にするのが私の目的です。
60dBの減衰がえられます。

少しでも隙間があれば
そこは
音が通り放題ですので
1000分の1は絶対に達成できません。

注意するところは


  • 開口部
  • 隅角部(曲がっているところ)
  • 天井と壁・壁と床の接続部分
  • 材料の継ぎ目

です。

特に開口部は
しっかりと隙間を作らないようにする必要があります。

防音扉用のグレモン錠が必要です。

防音を
効果的にするためには
吸音材が必要なことを
先に述べました。

とくに
一重で
防音できないような場合は
壁の間には
必ず
吸音材を
入れる必要があります。

壁の中空を
太鼓や共鳴箱にしないためには
吸音材は
必須アイテムです。

遮音には
質量則と言う法則がありますが
吸音には
特にありません。

実験で調べた結果
グラスウールやロックウール
などのような
フワフワしたものが
効果が高い事がわかっています。

今までに
述べた
遮音と
吸音の理論から
防音アパートを作るための
結論として
次の
二つが導き出されます。

  1. コンクリートや鉛の板のような相当重いものを分厚く隙間なく覆う
  2. 遮音材と吸音材を適切に使って隙間なく覆う

1.は理屈上出来ますがアパートという空間では不可能です。
実用上は
2.の方法を使うしかありません。

次回から
具体的に
書きます。


防音アパート

低音域を
遮音するためには
相当重量がいるのです。

即ち
遮音だけでは
防音するのは
不可能です。

そこで
吸音の出番です。

遮音が音を入れないとすれば
吸音は音を小さくするのです。

柔らかな微細なものの中を
音が通る時
微細なものを揺らすのですが
揺らすためにエネルギーを消費してしまいます。

また
音は
太鼓や共鳴箱でわかるように
反射を繰り返すことによって
増幅する性質を持っています。

例を言えば
A面から音(エネルギー量で100とします。)が出ます。
すぐ近くのB面に到着して
その50%が反射したとします。

そして
その反射した音(エネルギーは50です)が
B面に到着して
そこでまた
50%を反射すると
音は25のエネルギーです。

音の入力が同じで続くと考えると
(音の速さは毎秒300m以上ですので
小さい太鼓の中ではわずかの時間で
何百回と往復します。)
そのようなことが連続して起きると
A面とB面の間は
最初の100
次の50
次の25
次の12.5
、、、、、、、
、、、、、
合計して100÷(1-0.5)=200

つまり
反射率が0.5なら音エネルギーは倍に なってしまいます。

反射率が0.2なら
100÷(1-0.2)=125

反射率が0.8なら
100÷(1-0.8)=500

です。

即ち
反射率が小さい時
吸音率が大きい時
音エネルギーは小さくなります。

上記の例は
共鳴箱に限らず
二重壁のようなものも
通りやすくなります。

これを
共鳴透過と言って
防音にとって
最悪の
理屈です。



楽器もガンガンに使えるお部屋を作るためには
技術と
知識が必要です。

これから
ひとつずつ
ご説明します。

今日は全般として
遮音と吸音です。

防音は
遮音と吸音の組み合わせです。

遮音は
質量則という法則で
重いものほど
遮音性があり
低周波より
高周波の音の方が
遮音性があります。

どんなに重いものでも
低周波
例えば
1Hzくらいの音には
ほとんど効果ありません。
____________________________
TLo = 20 log ( f × M ) -42.5 (dB)

TLo: 透過損失(dB)
f : 周波数(Hz)
M : 構造体の密度(㎏/㎡)

TL = TLo - 10 log10 ( 0.23 × TLo )  (dB)

TL : ランダム入射透過損失(dB)
____________________________
で表されるそうで
要は
透過損失は
周波数と密度に比例します。

即ち
重くて高音ほど防音できます。

私は楽器は全く使えませんが
皆様は如何ですか。

いつでもどこでも
好きな時に
楽器が使えるためには
自宅にも
防音室があればいいとは思いませんか。

そんな
限りない
欲求にたいして
自宅で
楽器ができるお部屋を
私は作りたいと思います。

防音アパート

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